感想
- 番外詰め合わせの同人集なのだが、これが抜群に良い。素晴らしい。
- 天然でポエムを吐けるいくさんは素晴らしいんですよ。心が剥き出しに繊細だということです。それでよくこれまで自分の心をまもってこられたもんですね……。
- そして、そう、有休消化の休日の話です。1人になりたいから誰もいない海が良かったとかいうのはフィガロ(まほやく)を思ってしまうのでそれだけで情報が過多なのですが、それだけでは済まされない。塾に行く経済的余裕のある家庭で、でもバキバキに心は折られ粉砕されていて、ひとりだからひとりになりたいのに、塾か海にしかその場所の選択肢すらないのは、環境が追い詰められ過ぎている。なぜなら、その程度には経済力のある家庭で、かつそうした教育が受けられている子どもというのは、初めから支援の対象として透明化されていたり、優先順位は低いものと位置付けられたりしているからです。つら。
- で、そのあとのやりとりが素晴らしいのはそうなのだが、なんといっても、事後の会話である。ヒロくんがラストで「どうしよう」と漏らすのはこれが2度目で、1度目はそれへの明確なアンサーは描かれなかった。2度目の今回、言葉に込められた内情はさらに複雑さを増して、混乱と失われてもう取り戻せないものと絶対的な理不尽と、それでもいま満ちてしまえるほどにたしかなものも腕の中にあり全身包まれていて、そういう中での全部がカオスの「どうしよう」なんだけど、それにあのアンサーがあたえられるというのは、シンプルにすごいでしょう。なぜあのアンサーになるのかは、少し前にもう八雲くんがモノローグで語ってくれているので説得力もある。こうやって日々、ひとつずつ。「日常」のもつ強さですね。そういうことです。
- ところで八雲くんのBARレシピがわりと豊富に掲載されているのですが、これがまた抜群においしそうで、たいへんにたいへんにすばらしいです。作って食べよう!
- ちくわカレー、吉田秋生の海街diaryシリーズに出ていて試しにやってみたら「アリ!」だったので他人にオススメなどもしたことあったんだけど、なかなか認めてもらえていなかったので、載っていて小さな喜びがあった。ちくわは旨みよ。
- いつか未散ソノオ作品横断レシピ集とか出してほしいな。買うので。