前作でどうにもスッキリしなくて、スッキリしないのはいいんだけど浸りきれなくて、それは、「愛する人のために闘う」ということの解像度が、作品として低かったからだと思っていた。
それは悪いことでは別になくて、なぜなら前作は構造ではなく、構造にただ組み込まれてしまった、あくまで個人の物語だったから。
しかし今作は、その先の人たちの話だったから、もう満足感というか……キャパシティを攻められた感じがすごかった。
「愛する人のために闘う」ということと「愛する人のために死ぬ」は同じコインの表裏でしかなく、しかも「愛する人のために殺す/殺される」と分かち難くセットでしかないということ。
構造は瓦解されていないし、事態は改善しきれないけれど(なぜならこの物語のこの人たちは戦争の最中にあるので)、構造の中で翻弄されるだけだった個人が、個人としての営みを経て構造に反旗を翻る物語は、やっぱりどうしたって惹かれるよ。
ところで私は、この物語のエピローグがとても好き。
来年また会えるのだろうか。会えない気がするんだよな。
でもまた、いつか遠い先にでも会えたらいいよね。3人でね。

イキガミとドナー 二人のイキガミ 上 (on BLUE comics)
