感想

何年か前、すごく話題になっていた はずのシリーズ。本編3巻まで、番外編集1冊。外伝も1冊出ている。(外伝はまた別立てで記載)

期待して読みすすめたが、読み進めるうちに「違うな……」の気持ちになった。

弱さや「役に立たない」こと、気持ちがあるだけで(少なくとも物理では)守られる一方であることをも肯定するというのは、私は本来的に歓迎もしたいのだけど、その料理の仕方というか…… ジェンダーや障害まわりの包括や優生思想への意識、的なものへの視座がもう少し強く欲しかったというか。

でもこのへんの諸々への匙加減は本当に難しくて、何度か「安西リカならもっとうまく料理してくれていたはず」の気持ちになりつつ、しかし、安西リカがちょっとうますぎるだけなんだよな……ともなったり。

でも、こう感じるのは私が狭量なせいかもしれない。無力で守られることに甘んじたり、無力であるのに何度も同じような無謀で失敗して、恥をかいて、迷惑をかけて、であるのに周囲に愛され受け入れられる様子を「うーーーん」と思ってしまうことって、うーーーん、となる私のキャパシティの方に問題はないか?

無力で、守られて、無謀で、失敗して、恥をかいて、迷惑をかけて、それでも受け入れられることの、なにがいけない?

受け入れられない側に問題あるんじゃないか? 明らかに有用なわけではない人間は受け入れ難いのが当たり前みたいな感覚が自分の中にあるのではと気づいてしまって、私は少し頭を抱えた。人間相手に有用性なんて視点を、無意識にも向けてしまいたくなかった。

こういう、自分のクソなところを突きつけられたりするから読書は楽しいよね。

BLに限らず常のとおり、私は主人公たちCPよりも脇キャラに惹かれるので、ユリアンさんに胸を痛めたし、ヨハン!!!! ディルク!!!! えっそこにむしろルカが?! の3人が気になっている。

おかげさまでそちら3人の話(と思われる物語)が外伝で語られているそうで、大変に大変に楽しみである。

なお受けくんの実家の面々はもれなく好きなのだが、やはり静かなる過激派の長男が好きです。「長男」が好きだ。(「2番目長男」設定も好き)

長男の子が産まれたときのママ様のセリフも好き。

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